【鉄のプロが解説】鉄フライパンは使用後に油を塗るべきか?正しいタイミングと方法をわかりやすく解説

鉄フライパンは使用後に毎回油を塗るべき
鉄フライパンの扱う際によく言われることです。
ただこれがハードルに感じられて鉄フライパンの使用をためらう方も多いはず。

しかこれって本当にそうなのでしょうか?

この疑問に、鉄鋼メーカー勤務10年以上の筆者が詳しく答えます。
結論を先にお伝えすると、「使い始めのうちは毎回塗るがベター、使い込んでからは適当に」が正解です。
なぜそうなのか、理由と正しいやり方を順番に解説します。

目次

なぜ鉄フライパンに油を塗るのか?

鉄フライパンに油を塗る目的は大きく2つあります。

  • さびを防ぐ:鉄はさびやすい金属→油の薄い膜で、空気中の水分や酸素を遮断
  • こびりつきを防ぐ:油が鉄表面の微細な凹凸に入り、油膜を形成→食材がくっつきにくくなる

この2つのために行う工程が「油ならし」(シーズニング)であり、使用後の「油の塗布」です。
どちらも「油膜を育てる・維持する」という意味では目的は同じ。

油膜ができる仕組み:乾性油とヨウ素価

油には空気に触れると固まる「乾性油」と、固まりにくい「不乾性油」があります。
この性質を表す指標がヨウ素価

油の種類ヨウ素価の目安固まりやすさ鉄フライパンへの適性
ぶどう種子油(グレープシードオイル)130以上◎ 固まりやすい◎ 最適
アマニ油170以上◎ 固まりやすい◎ 最適
えごま油170以上◎ 固まりやすい◎ 最適
大豆油120〜140○ やや固まる○ 適している
オリーブオイル75〜90△ 固まりにくい△ あまり向かない
バター・ラード低い✕ 固まらない✕ 不向き

ヨウ素価が高いほど不飽和脂肪酸が多く、酸化・固化しやすい。
つまりヨウ素価の高い乾性油を使うほど、丈夫な油膜が形成されやすいというわけです。

使い始めと使い込み後で判断が変わる

「毎回油を塗るべきか?」という答えは、フライパンの「育ち具合」によって変わります。

【フェーズ1】使い始め〜慣れるまで(最初の1〜3ヶ月)

購入直後の鉄フライパンはまだ油膜が薄く、さびやすい状態。
この段階で毎回使用後に薄く油を塗る習慣ができたらにしましょう。

  1. 使用後、たわし等で洗う
  2. 加熱して完全に水分を飛ばす(30秒〜1分程度)
  3. 乾性油を数滴たらし、キッチンペーパーで薄く均一に塗り広げる
  4. 余分な油をペーパーで拭き取ってから収納する

⚠️ 油を厚く塗りすぎは逆効果。酸化した油が蓄積すると、加熱時に煙が出たり、不快な臭いの原因に。

【フェーズ2】使い込んで油膜が育ってきたら(3ヶ月〜)

使い続けるうちにフライパンの色が黒っぽく変わってきたら、油膜が安定してきたサイン。
こうなれば使用後に毎回塗る必要はなくなってきます

  • 次に使うまで1週間以上間隔が空くとき
  • 洗剤で洗ったあと(油膜が落ちている可能性があるため)
  • 表面が乾いてカサカサして見えるとき

【フェーズ3】長期保管するとき

旅行や引越しなどで数週間以上使わない場合は、しっかりとした油の塗布が必要。

  1. いつも通り洗って、完全に水分を飛ばす
  2. 乾性油を全体に薄く塗る
  3. 湿気の少ない場所に保管する(新聞紙などで包めればベスト)

保管時はできるだけ風通しの良い場所を選ぶと吉です。

正しい油の塗り方:「薄く」が絶対条件

油を塗るときに最もよくある失敗が「厚塗り」。

油は酸化・固化することで丈夫な膜になりますが、厚く塗ると内部まで酸化が進まず、ベタついたまま残っちゃう
この「酸化しきれていない油」が加熱時に焦げて煙を出したり、フライパンに嫌な臭いをつける原因になります。

目安:キッチンペーパーに少量取り、全体に伸ばしたあと、さらに別のペーパーで軽く拭き取るくらいが理想

洗剤で洗ってしまったあとはどうする?

「うっかり洗剤で洗ってしまった!」
焦らなくてOK、全然大丈夫です。

洗剤で洗うと油膜が落ちやすくなるのは確か。
ただし、1回程度であれば油膜が完全に消えるわけではありません。

もう一度、

  1. 弱火で加熱して完全に乾かす
  2. 乾性油を薄く塗って収納する

これで問題なく回復します。
ただ当然ですが、洗剤の使用が習慣になると油膜の形成がリセットされやすくなるため、基本的には「たわし+お湯」での洗浄をおすすめします。

よくある疑問Q&A

Q. スーパーで売っている一般的なサラダ油でも大丈夫?

A. 使えます。ただし市販のサラダ油の多くは菜種(キャノーラ)ベースでヨウ素価がやや低め。ぶどう種子油や大豆油はヨウ素価を使うとより◎

Q. オリーブオイルはダメ?

A. NG。オリーブオイルはヨウ素価が低い「不乾性油」に分類され、固化しにくいため

Q. 表面に白っぽいカスのようなものが付いているが大丈夫?

A. これは油が酸化して固まった残骸(油のカス)です。厚く塗りすぎたときや、油膜の重ね塗りが続いたときに発生。
 たわしで擦り洗いして落とし、薄く塗り直すことで改善されます。

Q. 窒化鉄フライパンは油を塗る手間が少ないと聞いたが本当?

A. 本当。ただし「まったく不要」ではなく、「通常の鉄ほど神経質にならなくてよい」が正確な表現。

油塗りの手間が減る理由は主に2つです。

① 耐食性が大幅に向上する(さびにくくなる)
② 表面が微細な多孔質構造になり、油を保持しやすい

詳細語りだすと長くなるので、詳しくは以下記事をご覧ください
【誤情報に注意】鉄のプロが窒化鉄フライパンのメリット・デメリットを理屈でわかりやすく解説

まとめ:使用ステージ別の油塗りガイド

ステージ油を塗るタイミング頻度
使い始め(〜3ヶ月)毎回使用後毎回
油膜が安定してきた間隔が空くとき・洗剤使用後必要に応じて
長期保管(数週間以上)保管前に全体に塗布保管前に必ず

鉄フライパンへの毎回の油の塗布はマストではなく、フライパンの状態に合わせて調整するもの。
最初の数ヶ月さえ丁寧にケアすれば、あとは自然と「育った鉄フライパン」になっていくので、がんばりましょう!

油の選び方や油ならしの詳しいやり方については、鉄フライパンのお手入れ方法まとめもあわせてご覧ください。

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