初心者に鍛造の鉄フライパンをオススメしない理由

あなたが鉄フライパンに興味を持った理由はなに?
料理の質があがるから?長持ちするから?所有欲が高まるから?

最後の”所有欲”を理由に鉄フライパンに興味を持った人に聞きたい。
「鉄フライパンのどこに所有欲を駆り立てられたのか?」

この質問に「手仕事感」と答える人は、山田工業所やタークなどの職人が手作業で作る鍛造品に興味を持っていることと思う。
それ自体は尊いことだし全く否定する気はない。

ただあなたが一度も鉄フライパンを扱ったことがない初心者であるなら話は別。
悪いことは言わないから初めての鉄フライパンを鍛造品にするのは避けたほうがいい。

この記事ではなぜ鉄フライパンの初心者に鍛造品をおすすめしないかを、鉄のプロとして、また鉄フライパンのヘビーユーザーとして意見を述べていこうと思う。

目次

【結論】鍛造品はロマンはある。が、初心者向きではない

自分も鍛造品が欲しい。
タークとか山田工業所の打ち出し鉄とか、見ているだけでテンションが上がる。

でもだからこそ、初心者には勧めない。

形状がばらつきやすくて扱いにくい上に価格も高い。
それで鉄フライパン自体が嫌いになってしまったら、鍛造品を作った職人にも申し訳が立たない。

鍛造品は、鉄フライパンを使いこなせるようになってからの”ご褒美”でいいというのが自分の意見。

なぜそう思うのかは後述する。

鉄のフライパンの製法は3種類

そもそも鍛造品ってなに?という人もいると思うのでおさらいから。

鉄のフライパンの製法は3種類ある。

  • プレス:鉄板を機械でプレスして成形
  • 鋳造:ドロドロの鉄を型に流し込んで成形
  • 鍛造:人が機械を用いて鉄板を叩いて成形

抑えてほしいのが鍛造品は人が介入すること

製造工程のイメージは鍛造品の代表格、かつ究極の手仕事品を提供するTurkの動画をご参照。

❚補足
人の手が全く介入しない「型鍛造」という製法もありますが、私の知る限り型鍛造で作られた鉄フライパンはありません

鍛造品は形状が不均一になりがち

プレス品は鉄板を機械が型に押し込んで成形、鋳造品は型にドロドロの鉄を満たして成形する。
この2つの製法は機械的に作るので、個体ごとの寸法や形状の精度がばらつきにくい。

対して、鍛造品は人がバシバシ叩く機械ハンマーを操って、目視や手の触感で精度を確かめながら成形する。
そうなるとプレス品や鋳造品と比較すると、検査工程でチェックするとはいえどうあがいても個体差が出てしまう

よく職人の手仕事を紹介する番組で、よくナノレベルの厚みも見逃さない的な職人が紹介されるけど、あんなのは一握りもしくは幻想だと思う。
職人の技術・感覚を均一にすることなんてできないし、人である以上どんなピカイチ職人でも体調や気分でパフォーマンスがブレることだってあるはず。

だから、鍛造品はプレス品や鋳造品に比べて形状が不均一になりがちとなるわけ。

❚補足
あくまで一般論。鍛造品の品質が低いと言っているわけではない

形状が不均一=ストレスが溜まる

形状が不均一だとダメなの?と聞かれると、答えはもちろんダメ。

形状が不均一だとフライパンの熱伝導にばらつきが出てしまう
厚みが薄いところには熱が早く伝わるし冷えるのも早い、対して厚いところには熱が伝わりにくいし冷えるのも遅い。

このバラつきが発生すると、食材の焼き加減が場所によってばらつくことになってしまう。

これ、調理するうえでは超ストレスだと私は思う。
食材の味にも見た目にも影響するから、料理が楽しくなくなってしまうかもしれない。

IH使えない問題に引っかかるリスク

形状がばらつくということはIHで使えないリスクも出てくる。(詳細は以下の記事参照)

詳細は下記リンクを参照してほしいけど、簡単にいうと形状がばらつくとIHが反応しないもしくはしっかり加熱できない可能性がある。

せっかくウキウキで買ったのに使えないとかワラエナイ。

まぁこれは買う時に注意書きを見ればなんとかなる問題ではあるけど、初心者なら避けられるリスクは極力避けるべきだと思う。

鍛造品は価格が高い

加えて、当たり前だけど製造に人が多く介入するということは人件費がかかる。
つまり、鍛造品は価格が高くなりがち

厳密には鋳造品よりは安いということはあるけど、プレス品にはどう足をかいても勝てない(もちろんブランドによる)。
プレス成形は機械で一発プレスするだけなんでね・・・。

さっきの形状が不均一になりがちである点も踏まえると、

・高いお金を出したのに
・扱いが難しい
 →使うのやめちゃう

初心者ならモチベだだ下がりでこうなってしまいかねない。

所有欲を満たしたいがために鍛造品を買ったのに、これでは本末転倒も甚だしい。

初心者はおとしなくプレス品を買うべき

他の記事でもさんざん書いているが、鉄フライパンは扱いになれるに時間がかかる。
この扱いに慣れるかどうかが、鉄フライパンを好きになるかならないかの分水嶺。

そんな大事な購入初期のタイミングで、鍛造品という最も扱いに苦慮するであろう品でわざわざ自分からハードルを上げに行く必要はまったくない。
いや、なんなら避けるべき。

ということで、初心者には

・安くて
・形状も均一で扱いやすい

プレス品をオススメするというのが私の意見。

❚補足
プレス品のオススメはみんな使っているから面白みはないけど、やはりリバーライトになる。
窒化鉄だし、おしゃれだし、そしてお手頃価格。
間違いなく、最も現実的な選択肢

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とはいえ、鍛造品はロマンの塊

ただ、あくまで”初心者は”買うべきでないと言っているだけで、鍛造品そのものを否定しているわけではない。

鍛造品にロマンが溢れているのもまた事実。
メーカーで働いている身として、その伝統と技術・文化を継承してモノづくりをする職人にはリスペクトしかないし、実際筆者もそのような方が作ったモノをいつかは愛用したいと思ってる。

工場で一つ一つを丁寧に作り上げている職人の姿に想いをはせながら調理できる喜びはこのうえないと思うし、きっと、機械的に作られたモノよりも大切に使っていこうという気持ちが芽生えるはず。

職人が丹精込めて作った鉄フライパンに感謝し、長く日常的に使っていくためにも、まずはプレス品や鋳造品で鉄のフライパンの扱いに慣れていくのがやはりベストに思う

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