鉄のフライパンは料理好きが一度は憧れる存在。
料理人も愛用するなど、ワンランク上の料理が作れます。
しかし、膨大な商品数から自分に合うものを選ぶのは大変。
商品ごとの違いがわからず、悩む方も多いはず。
そこで今回は本業の知識を活かして、初めて買う方向けに鉄のフライパンの選び方をご紹介いたします。
この記事を読めば抑えるべきポイントがしっかりわかります。
記事を読んだけど選びきれない…
そんな方もいると思い、40社80商品から初心者向けのおすすめ7選を絞りましたので参考にしてください。
※オススメだけ見たい方は以下リンクより飛んでください。
- 鉄のフライパンの購入を検討中
- 鉄のフライパンの選び方を知りたい
- 初心者におすすめの鉄のフライパンが知りたい
初心者が鉄のフライパンを選ぶ時のポイント
結論を申し上げると以下の通りです。
なお、サイズや価格などフライパンそのものを選ぶポイントは除外しています。
詳細はそれぞれ後述しますが、
"自分は何を重視すれば、使い続けられるか?"
この観点を大事にしてください。
一生使える鉄のフライパン。使わなくなると勿体ないですからね。
メンテナンスのしやすさ
初心者が1番に考えるべきポイントと思います。
鉄のフライパンの1番のデメリットは「手入れが面倒」です。
実際、鉄のフライパンはコーティングされたアルミ製と違って、一般的に以下の手間がかかります。
購入後の空焼き:サビ止めを焼切る
シーズニング :サビ、焦げ付き防止
料理後即洗い :サビ防止
洗剤禁止 :サビ防止
どうでしょう?「うげっ…」となりませんか?
使うのをやめてしまうのも無理ないです。
(ちなみに油がなじめば、この手間はほぼなくなります)
メンテナンスのしやすさは底面素材への加工有無をチェック
メンテナンスのしやすさは何を見ればわかるの?
底面の素材に工夫がされているかどうかを確認してください。
代表的なのは窒化処理とエンボス加工です。
窒化処理とエンボス加工のメリットは以下の通り。
窒化処理:傷がつきにくく錆びにくい
エンボス加工:こげつきにくい
他にも会社ごとの独自加工があったりするので、商品説明をチェックしてみてください。
重さ
日常利用にあたり、重さも超重要な観点です。
鉄のフライパンの2番目のデメリットは重さです。
実際、鉄のフライパンは一般品(アルミ製)と比較して倍近く重いことがあります。
倍と聞くと驚くかもですが、以下目安までなら日常使いに不便しないと思います。
腕力に自信がない方:1,000g前後
腕力に自信がある方:1,300g前後
裏を返せば、目安を超えると日常使いはしんどくなると思いますので注意してください。
ちなみにこの目安は、今も週二回ほどジム通いして筋力には割と自信がある私が、様々な商品を実際に手に取って導き出した結論です。
重さはメリットにもなる
重いと使い勝手は悪くなりますが、軽ければいいわけでもないんです。
重いことで得られるメリットがあるからです。
それは蓄熱性です。
蓄熱性とは、文字通り熱を蓄える性能です。
高いほど冷めにくい(=温度変化しにくい)ことを意味します。
蓄熱性が高いと一般的に以下のメリットが得られます。
・食材の旨味を逃がさず調理できる
(均一かつ早く加熱できる)
・焦げにくい
要は蓄熱性が高いと、焦げにくく美味しく調理できるわけです。
でもやっぱり軽い方がいい。
軽い商品を選ぶ時のポイントは?
軽い商品の購入を検討する際は、底厚をチェックしてください。
目安は1.6mmです。
1.6未満は薄い部類に入り、平均的な鉄のフライパンより蓄熱性が低くなるため温度管理が難しくなります。
なので、最初は1.6mm以上を選ぶ方がいいです。
持ち手の素材
地味に大事なポイントです。
持ち手の素材は主に樹脂、木、鉄の3種類。
これらは耐久性、持ちやすさ、見た目に関わります。
素材別の簡単な比較表を作ってみました
(見た目は独断と偏見です)
耐久性 | 持ちやすさ | 見た目 | |
樹脂 | × | 〇 | △ |
木 | △ | 〇 | 〇 |
鉄 | ◎ | △ | 〇 |
詳細は以下の通りです。
樹脂:衝撃に弱く経年劣化も激しい。
木 :激しい温度変化で割れる可能性あり
鉄 :ほぼ壊れない
樹脂:軽くて持ちやすい
木 :樹脂ほどではないが軽い
鉄 :熱くなり素手で持てないことも。重い
樹脂:安っぽい。生活感が強くなる
木 :柔らかくオシャレな雰囲気
鉄 :無骨な雰囲気
こんな風に、一長一短です。
個人的には鉄がベストだと思います。
鉄のフライパンは一生ものと考えているので、耐久性が最も大事かなと。
次点でオシャレさを取って木、最後に樹脂の順になりますね。
ハンドルと本体の溶接部も要チェック
一般的に、本体と持ち手は写真のようにリベットで溶接されています。
この溶接部、特に隙間については当然ながらシーズニングができません。
そのため溶接部に水分が侵入し、腐食して使えなくなるケースがあります。
溶接部の腐食が心配な方は、そもそも溶接部がない鋳鉄製のフライパンを選びましょう。
対応熱源
鉄のフライパンは基本的にほぼ全熱源で使えます。
ただし、形状の関係でIH非対応のものがまれにあるので注意してください。
特に、プレス・鍛造を手仕事でされているものは形状にばらつきが出るので、商品説明に記載がない場合はお店に問い合わせた方が良いです。
見た目
見た目は気にしない方は読み飛ばしてください。
ただ、見た目は以下より大事と考えます。
- 使うモチベーションになる
- 器として使える
使うモチベーションになる
ただでさえ扱いが難しく使用をためらう鉄のフライパン。
使うモチベーションは多ければ多い方がいいです。
見た目がよければ、つい手にしたくなりますよね。
些細でも、こういう積み重ねが大事です。
器として使える
鉄のフライパンは保温性のある器になります。
最後まで温かいご飯を食べれるのは大きなメリット。
ただ、オシャレでないと食卓が映えません。
なので、見た目は良いに越したことはないんです。
初心者向けおすすめの鉄のフライパン7選
ここまで選ぶポイントをお伝えしてきましたが、数多くの商品がある中で「さぁ選んでください!」と言われても難しいですよね。
そこで、40社80商品から初心者向けのおすすめ商品をご紹介いたします。
購入時の参考にしてください。
アイリスオーヤマ 鉄フライパン(SCP-F)
サイズ(cm) | メンテナンス | 重さ | 価格 | 持ち手 |
20, 26, 28(深型), 29 | 〇 | ◎ | 〇 | 木 |
総合点が非常に高い商品です。
重さは26cm前提で860gと最軽量レベル。
窒化処理でメンテナンスも楽、取っ手が木で見た目も良い。
なのに、価格が超リーズナブル!
さすがアイリスオーヤマです。
初めての鉄パンにはうってつけの商品です。
なお底厚2.3mmタイプもあるので気になる方はチェックしてみてください。
KEYUCA Runo
サイズ(cm) | メンテナンス | 重さ | 価格 | 持ち手 |
22, 26 | 〇 | △ | 〇 | 木 |
Runoは扱いやすさと手入れのしやすさがウリです。
窒化処理に加え、エンボス加工もされており、誰にでも扱えるようになっています。
エンボス加工は凹凸のせいで見た目がイマイチになりがちですが、Runoは洗練されています。
さすがKEYUCAですね。
扱い方がYoutubeに載っているのも初心者には嬉しいポイント。
深型なこともあり、26㎝で1,140gと若干重いので気になる方は店頭で一度触ってみてください。
リバーライト 極JAPAN
サイズ(cm) | メンテナンス | 重さ | 価格 | 持ち手 |
16~28まで2cm刻み7種類 | 〇 | 〇 | 〇 | 木 |
非常にコストパフォーマンスに優れた商品です。
950gという軽さ、見た目、収納性(取っ手取れる)、メンテナンスのしやすさ
すべてがハイレベルでありながら、値段は6,000円前後というね。
2個目を買う時、最後の最後までこれと迷いました。
よく調べたし、実物も触ったことあるので自信をもってオススメできます。
リバーライトは上記以外に厚底タイプ、深型タイプもあるので気になる方はご覧ください。
極SONS COCOpan ベーシック
サイズ(cm) | メンテナンス | 重さ | 価格 | 持ち手 |
16~28まで2cm刻み7種類 | 〇 | ◎ | △ | クリップ |
上述の「リバーライト 極」の兄弟商品です。
違いは取っ手が完全に取れることと、重量が872g(取っ手込)とさらに軽いことです。
見た目がスタイリッシュなので、持ち手を外せば完全なる器になります。
窒化処理のおかげで、メンテナンスも簡単です。
ちなみにこのサイズで持ち手が完全に外れる鉄パンはこれだけです(22年8月時点)。
収納性重視の方はこれ一択です。
リバーライトと同様に厚底タイプもあるのでチェックしてみてください。
ビタクラフト スーパー鉄
サイズ(cm) | メンテナンス | 重さ | 価格 | 持ち手 |
20, 24, 26, 28 | 〇 | 〇 | △ | ステンレス |
とにかくオシャレです。
所有欲が高まり、ついつい使いたくなります。
もちろんおしゃれなだけでなく、機能もしっかりしています。
取っ手にステンレスを採用することで以下のメリットを獲得。
- おしゃれ
- 熱くなりにくい(熱伝導率が鉄の1/3)
- さびない
取っ手がステンレスのものは重くなりがちですが、963gと非常に軽い。
根元をくり抜く工夫で軽量化しています。
窒化処理によって、お手入れもしやすいのもウリの一つです。
パール金属 鉄職人
サイズ(cm) | メンテナンス | 重さ | 価格 | 持ち手 |
16~28まで2cm刻み6種類 | △ | 〇 | ◎ | 鉄 |
こちらのウリは安さです。
これ以上安い鉄のフライパンはほとんどないです。
安さ以外にも、軽さ(960g)と無骨な”The 鉄のフライパン”な見た目も魅力です。
お手入れについても”The 鉄のフライパン”で、特殊な加工はされていません。
裏を返せば、値段の安さもあり、鉄のフライパンの扱いに慣れてみたい方には非常にオススメと言えます。
岩鉄鉄器 ダクタイルパンシリーズ
サイズ(cm) | メンテナンス | 重さ | 価格 | 持ち手 |
18, 22, 24(深型), 26 | ◎ | 〇 | × | 鉄 |
ゆるぱん使用品です。
メンテナンス性を気にしている方はこれ一択です。
なぜなら、メンテナンスが一切不要だから。
空焼きもシーズニングも不要、洗剤使用もOKです。
数ある鉄パンの中で、最も手入れが楽な商品だと思います。
鋳鉄製で持ち手がシームレスなため強度も高い。
またくり抜くことで軽量化と熱くなりにくく工夫されています。
重さも1,100g(26cm)と許容範囲。
値段は他の商品と比べると高いですが、一生使うことを考えれば気になりません。
初めての鉄パン選びで失敗したくない!という方にはうってつけです。
より詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
まとめ
今回は鉄のフライパンの選び方と初心者向けのおすすめ商品をご紹介しました。
色々ポイントを記載したので、余計に迷いが出たかもしれません。
その際は、今一度"何を重視すれば、使い続けられるか?"を考えてみてください。
きっと答えが見つかるはずです。
それでも答えが出ない方は、私の使っているダクタイルパンシリーズをおすすめします。
数多くの商品を見た中で、現時点の最適解だと思っています。
詳細をご覧になりたい方は過去記事を是非ご覧ください。
【鉄のプロが解説】ダクタイルパンを1年使ってわかったメリット・デメリット
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