鉄フライパンのめんどうなお手入れに時間をかけるのはもうやめにしませんか?
美味しい料理が作れる鉄フライパンですが、お手入れのめんどうさに悩む方は本当に多い。
このせいで鉄フライパンの購入に踏み切れない方も多いでしょう。
実際、購入後の空焼き・シーズニング(油ならし)・洗剤禁止など、手慣れている筆者でもめんどくさく感じますから…。
この悩みから解放してくれる鉄フライパンがただ1つあります。
"岩鉄鉄器/ダクタイルパン"です。
多くのブロガーや料理人の方もおすすめしている商品で、納品待ちになりがちな超人気商品。
一方で実際どうなの?と思われる方もいるでしょう。
そこで今回は、4年使用した感想をメリットとデメリットを交えてご紹介いたします。
4つの鉄フライパンを使っているからこその感想に加え、10年以上鉄鋼メーカーで勤務している鉄のプロの観点の感想も盛り込んでいますので、きっと参考になると思います。
この記事を読めば、ダクタイルパンの具体的なイメージが湧きますので、後悔しない判断ができるようになります。
是非最後までご覧ください
ダクタイルパンの良さを全部知ってもらいたくて、マニアックな内容も多く盛り込んでいます!ご了承ください
- ダクタイルパンを買うと何が変わるか?
- ダクタイルパンの実際の使用感
- ダクタイルパンのメリット・デメリット
- どこにも書いていないダクタイルパンのすごさ
- ダクタイルパンを買うべき人
【結論】ダクタイルパンを使えばゆとりある豊かな食卓が実現できる
ダクタイルパンって実際どうなの?と思っている方に、先に結論を申し上げます。
鉄フライパンで迷っているならダクタイルパンを選ぶべき
そう言えるくらいにおすすめです。
熱伝導が抜群に良いから手早く美味しい料理が作れるし、なにより鉄のフライパンならではのめんどうなお手入れから解放されるのでゆとりある食卓を囲めます。
これほど満足度の高い商品も珍しいと思います。
そう思う理由を以降説明していきます。
ダクタイルパンのラインナップ
ダクタイルパンは4種類あります。
各サイズを表にまとめましたのでご参照ください。
名称 | 上端 直径 | 底面 直径 | 深さ | 長さ (取手含) | 重さ | 容量 |
ダクタイルパン18 | 18cm | 14cm | 4cm | 32cm | 580g | 0.8L |
ダクタイルパン22 | 22cm | 16cm | 5cm | 39cm | 770g | 1.5L |
ダクタイルパン26 | 26cm | 20cm | 5cm | 46cm | 1,100g | 2.0L |
ダクタイルディープパン24 | 24cm | 18cm | 7cm | 44cm | 1,000g | 2.5L |
筆者使用品
筆者が使っているのはダクタイルディープパン24です。
簡単に商品の詳細を記載しておきます。
ダクタイルパンのデメリット
まずはデメリットをご紹介いたします。
なお、このデメリットは鉄フライパンにおける比較です。
アルミやホーローなどの別素材と比較したデメリットではないのでご注意願います。
価格が高い
26㎝サイズで比較すると3,000円のものもあるなかで、18,150円は高いですよね。
購入をためらう大きな要因の一つです。
ただ後述しますがダクタイルパンには一生使える耐久性があります。
その前提で本当に高いのか数字で冷静に考えてみましょう。
- 安い鉄フライパン(3,000円)との価格差は15,000円
- 40年使うとすると、価格差は年額375円
- 3日に1回使うなら価格差は1回あたり約3円
要は3円以上の価値を感じるなら、価格は問題ではないわけです
後述するメリットと合わせて判断してみてください。
火加減が難しい(使い始め)
ダクタイルパンはそこらのフライパンよりも熱伝導率が圧倒的に良いです。
そのため普通の感覚で調理すると、最初は食材を焦がすかもしれません。
筆者も何回か食材を黒くしてしまいました…
そこで実際にどれほど違うか実験してみました。
- 200℃になるまでの時間をタイプの異なる上図の4種類で比較
- 計測はレーザー温度計を使用
- それぞれ5回トライし平均を計測
結果は以下の通りとなりました。
素材 | 底厚 | 経過時間 | |
ダクタイルパン | 鋳鉄 | 1.6mm | 37秒 |
鉄職人 | 鉄 | 1.6mm | 50秒 |
ニトリ/スキレット | 鋳鉄 | 2.0mm | 80秒 |
ティファール | アルミ | 4.5mm | 50秒 |
ダクタイルパンの加熱スピードが圧倒的に早いことがわかります。
ニトリ/スキレットは底厚が厚いので想定通り。
一方、底厚が同じの鉄職人、底厚があるとはいえ熱伝導率が鉄より優れるアルミメインのティファールとこれほど差が出るとは思いませんでした。
13秒の差はでかいので、最初焦がすのも無理ありません。
この熱伝導の良さに苦労する可能性は覚えておいてください。
ただ、使ううちに慣れてきますのでそこまで心配しなくても大丈夫です。
というより、熱伝導の良さは料理の時短に繋がるので基本的には嬉しいポイントです。
じっくり火を通す料理には不向き
ダクタイルパンは底厚が1.6mmと薄め。
そのため上述の通り加熱は早いのですが、同時に冷えやすくもあります。
要は蓄熱性は高くないわけです。
なので煮込み料理やじっくり弱火で旨味を出す料理には向きません(温度が安定しないため)。
そのような料理をメインで作りたい方は、STAUBのような厚みのあるものを購入してください。
若干バランスが悪い
本当に若干、重心がハンドル側にあるように感じます。
直径22㎝の五徳の中心から、持ち手側に何センチ動かすと逆サイドが浮くか実験。
結果、ダクタイルディープパンは4.5cm動かすと浮いた(赤丸部)のに対し、底面積が同じのティファールは5.5cmまでは浮きませんでした。
家庭用コンロでこの差は気になりませんが、五徳が小さめのコンロでは注意した方がいいかもしれません。
ちなみに筆者は2年使って危険や不便を感じたことはないです。
ダクタイルパンのメリット
続いてメリットですが、以下の通りです。
正直メリットだらけです。
デメリット同様、鉄パンの中での比較である点ご留意ください。
お手入れが完全に不要
ダクタイルパン最大にして最高のメリットです。
筆者もこれが決め手となり、購入に至っています。
鉄フライパン最大のデメリットはお手入れの面倒さ。
主にサビ対策としてテフロンに比べて段違いにお手入れに手間がかかります。
具体的にかかる手間は以下の通りです。
購入後の空焼き:さび止めを焼き切るため
シーズニング :さび防止
料理後の即洗い:さび防止
洗剤禁止 :さび防止
どうでしょう?結構めんどくさく感じませんか?
実際、友人含めこの手間のせいで鉄フライパンの使用を止めてしまった方を数多く見てきました。
一方でダクタイルパンは、これらの手間が一切かかりません。
空焼き・シーズニング不要、好きなタイミングで洗えるし、洗剤も使えるので衛生的。
お手入れを簡素化した商品は他にもありますが、上記4点の手間を全て解消しているのはダクタイルパンだけ。
ずぼらな方はダクタイルパン一択です。
筆者の普段のお手入れの様子
イメージしやすいように普段のお手入れ方法を紹介します。
ちなみに筆者はよほど汚れない限り洗剤は使いません(もちろん毎回使ってもOK)。
- 汚れたらまずお湯を張って放置。その間にご飯を食べる
- 食後にたわしでこすって汚れを取る
- お湯で洗い流す
- 水を切って自然乾燥
1のお湯を張って放置、4の自然乾燥は普通の鉄フライパンだとさびちゃいますが、ダクタイルパンは全く問題なし。
特に1ができるのはかなりのメリット。汚れが浮いて洗うのが簡単になりますからね。
また後述しますが、ダクタイルパンは焦げ付きにくいし、焦げ付いても軽くこすれば汚れが落ちるので、その点も本当に助かっています。
お手入れ不要を実現した岩鉄鉄器の技術
※少し専門的なので、興味ない方は飛ばしてください
ダクタイルパンはなぜお手入れ不要なの?
結論は以下の通り。
- 鋳鉄製である
- 高レベルな独自の窒化処理
普通の鉄よりさびにくい鋳鉄製
上述の通り、ダクタイルパンは鋳鉄製。
鋳鉄は普通の鉄に比べてさびにくいんです。
じゃあみんな鋳鉄使えばいいじゃん、って思いますよね。
ただ鋳鉄製フライパンを家庭用並みに軽くするのはめちゃくちゃ難しい(後述)。
実際、鋳鉄製で1kgほどの軽さを実現できているのはダクタイルパンだけ!
岩鉄鉄器の技術のたまものです。
高レベルな独自の窒化処理
ダクタイルパンは独自の窒化処理により一般の窒化処理されたフライパンよりさびにくいです
窒化処理とは窒素を流入させて窒化鉄の層を作る表面処理のこと。
窒化処理をすると、図①のとおり酸素と鉄の層(黒さび)および窒化鉄の層ができます。
層は厚いほどさびにくくなりますが、窒化鉄の層は厚すぎるともろくなってしまうのが難しいところ。
岩鉄鉄器は緻密な温度管理など、高レベルの操業条件のもと独自の窒化処理を施すことで絶妙な厚みを獲得。
強度はたもちつつ非常に高い防さび性を実現しています。
結果、岩鉄鉄器は完全お手入れ不要となっているわけです。
<余談>黒さびは鉄の守り神
さらっと黒さびと書いてきましたが、知らない方に向けて解説しておきます。
さびには赤さびと黒さびの2種類があり、赤さびは金属を腐食させます。
対して黒さびは「良質なサビ」とされ、金属を腐食から守ります。
ちなみに黒さびは酸度の強い洗剤で洗うと取れてしまい、その状態で鉄が水分に触れると徐々に赤さびに変位します。
鉄フライパンに基本的に洗剤がNGなのはこのためです。
段違いに焦げ付きにくい
多くの人が悩む鉄フライパンの焦げ付きですが、ダクタイルパンはめちゃくちゃ焦げ付きにくいです。
筆者は4つの鉄のフライパンを使っていますが、正直圧倒的です。
実際にどのくらい違うか実験してみました。
目玉焼きを焼いた後の焦げ付き具合をチェック
▸温度、油の量、焼き時間は同じ
(調理要因での焦げ付きをなくすため)
結果、鉄職人は焦げ付きが残りましたが、ダクタイルパンは焦げ付きゼロでした。
ちなみにチャーハンなどのデンプン質が含まれるものだともっと差が出ます。
鉄職人だとたわしでゴシゴシしまくってようやく取れるのが、ダクタイルパンだとターナー等で削ればポロっと取れます。
洗う手間はもちろん焦げ付きは料理の出来栄えにも影響するので、この焦げ付きにくさは本当に助かっています。
ぜひ一度体感してほしいと思います。
軽い
購入の決め手になったポイントの1つです。
鉄フライパンの購入において、重さは非常に重要な観点。
重すぎると日常遣いがしんどくなり、使わなくなってしまいますから。
主観ですが、目安は1,300g。
それ以上はそれなりに体を鍛えていても厳しいと思います。
対してダクタイルパンは一番大きい26㎝のものでも1,120gと最軽量クラス。
重さが苦で「今日は使うのやめとこう…」と思ったことは一度もありません。
たまにテフロン並みに軽い!との記事を見かけますが、それはさすがに誇張しすぎ。
比較的重めのティファールでも850g、ダクタイルパンは1,120g
300gの差は大きいので、間違ってもテフロンと同じ重さのイメージで買わないようにしてください。
<余談>常識破りなダクタイルパンの軽さ
南部鉄器やSTAUBなど、鋳鉄製のフライパンは基本的に厚くて重いもの。
なぜなら鋳鉄はもろくて衝撃に弱いから。
厚みをもたせることで補強しているので、重くなって当然なんです。
その中でダクタイルパンの軽さは常識を覆すレベル。
手持ちの鋳鉄製のフライパンと比較してみます。
底厚 | 重量 | |
ダクタイルパン 26cm | 1.6mm | 1,100g |
ニトリ/スキレット 19cm | 4.0mm | 1,330g |
プロアルテ グリドルパン(南部鉄器) | 3.0mm | 3,000g |
STAUB ピコ・ココット 22cm | 10.0mm | 4,000g |
19cmのニトリのスキレットですら1,330gですから、すごさがわかってもらえると思います。
軽さの秘密は名前にもなっているダクタイル鋳鉄を使っていること。
普通の鋳鉄より強度が約2倍ほど強い鋳鉄ですが、それだけでは不十分。
鉄の組織を絶妙な温度管理で制御することでさらに強度を高め、唯一無二の薄くて軽いのに衝撃にも強いフライパンを実現しているわけです。
一生使える頑丈さ
ただでさえ頑丈な鉄フライパンですが、ダクタイルパンは最も頑丈な鉄フライパンだと考えています。
理由は以下。
- 窒化処理によって超軽い
- 鋳鉄製の一体型構造
- さびる心配がない
上述した窒化処理は、さびにくくなる以外に普通の鉄より最大5倍ほど硬くなるメリットがあります。
硬いことで傷がつきにくくなり、長持ちします。
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また後述しますが、鋳鉄製で本体からハンドルまで一体構造ですきがないため強固。
さらにさらに窒化処理&鋳鉄製の特徴であるさびにくさによって腐食の心配もなし。
安心して長く使えるのは嬉しい限りです。
頑丈で熱くならないハンドル
使い勝手や耐久性に影響するハンドル。
ダクタイルパンのハンドルは超優秀です。
- 鋳鉄製だから超頑丈で一生使える
- 鋳鉄製なのに熱くならない
鋳鉄製だから超頑丈で一生使える
丈夫な鉄フライパンの唯一の弱点であるハンドルと本体の接合部。
接合部が腐食して使えなくなるのは良くある話です。
一方ダクタイルパンは鋳鉄製だからそもそも接合部がありません。
またハンドルの鋳鉄も窒化処理済みなのでさびの心配もなし。
腐食の心配なく安心して長く使えます。
鋳鉄製のハンドルなのに熱くならない
鉄のハンドルは本体からの熱で熱くなりがち。
そのためタオルを巻いたり鍋掴みを使うのが一般的ですが、着けるのもそれらを洗うのも面倒。
なによりやけどする危険があります。
一方、ダクタイルパンは持ち手が熱くなりません。
持ち手の付け根の穴が熱伝導を鈍化させているからです。
長時間加熱するとほんのり温かくはなりますが、素手で持てなくなることはありません。
料理が時短できる
デメリットでは熱伝導が良すぎて火加減が最初の方は難しいと記載しました。
しかし慣れるとメリットに早変わり。
熱が伝わりやすいことで料理が時短できます。
試しに、ベーコンを同じ時間焼いて、他の鉄フライパンと比較してみます。
左がダクタイルパン、右がニトリのスキレットを使って焼いたものです。
左は全体に焼き目がついていますが、右は端しか焼き目がついていません。
あと30秒加熱し続けると右も左のようになりましたが、この30秒の差が毎日の料理には大きく響いてきますので、熱伝導は良いにこしたことはないわけです。
全熱源に対応
ダクタイルパンは熱源を選びません。
IHがダメな商品もある中で、これもうれしいところ。
我が家はガス火派なので、IH非対応でも問題はなかったのですが、将来子供ができて安全に気を遣うようになると、IHコンロにする可能性は十分にあります。
一生涯使うつもりで購入する鉄パンですから、生活環境の変化に対応してくれているのは嬉しい限りです。
ダクタイルパンがおすすめな人
これまでの内容を踏まえてダクタイルパンはこんな人におすすめです。
- 鉄フライパン初心者
→これ以上扱いやすいものはない - 手早く料理したい人
→圧倒的な熱伝導の良さ - 長く使いたい人
→1番頑丈な鉄フライパン - ずぼらな人
→雑に扱っても大丈夫
と、タイプ別におすすめの人を書きましたが、お財布が許すなら万人におすすめできます。
ちょっとでも鉄フライパン選びに悩むのなら、ダクタイルパンを買っておけば間違いありません
購入するならお早めに
早めの購入をおすすめする理由は以下の通りです。
- 人気過ぎて納品に時間がかかる(一時2か月待ち)
- さらに寝上がる可能性がある
現在は少し落ち着いて納品まで2週間となっていますが、一時は2か月待ち。
待ち時間を短縮したいなら、早めの購入が吉です。
2点目について、ダクタイルパンは発売時から1,500円値上がりしています。
製造にかかる電気代や人件費は全国的に上がっていますので、近い将来値上がることはあっても値下がりは絶対にないでしょう。
まとめ
ダクタイルパンのメリット・デメリット感想も交えて説明してきました。
デメリットもありますが、「お手入れが完全に不要」このメリット一つで、全てのデメリットを吹き飛ばせます。
4つの鉄フライパンを使う身として、この差はマジででかいと感じています。
「鉄フライパンを調べまくった結果、どれがいいかわからなくなった」
そんな方は、悪いこと言わないのでダクタイルパンにしましょう。
変な物買って上手く使いこなせずに使うのをやめる、これが最悪ですから。
繰り返しですがダクタイルパンは現在人気過ぎて2か月待ちの状態です。
注文するなら早めにするのが吉ですよ。
また、もし鉄パンの選び方がわからない!という方がいらっしゃましたら、ポイントをまとめた以下記事も参考にしてみてください。
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