【プロが直伝】初心者でも安心!失敗しない鉄フライパンの選び方ガイド

鉄のフライパン選びは初心者なら誰もが悩むポイント。

価格帯は1,000円から数万円とめちゃ広いし、それらの何がどう違うのか?
どういうポイントを押さえれば失敗しないのか?

タイプの違う鉄フライパンを4本扱う愛用者として、また鉄鋼メーカーに勤める鉄のプロとして、その悩みにお答えします。

目次

【結論】初心者は厚さ1.6mmの窒化鉄フライパンがおすすめ

「鉄のフライパン初心者はどんなのを買えばいい?」

これまでの経験から私ならこう答えます。

"厚み1.6mm、重さ1,000前後の窒化鉄フライパン"

鉄フライパンを使う楽しさをしっかり味わえつつ、デメリットである”重さ”と”手入れの面倒さ”ともうまく付き合える、多くの人にとっての最適解だと思います。

理由は後述していきます。

鉄フライパンはとにかく高温調理が楽しい

まずは鉄のフライパンの特徴を簡単におさらい。

鉄フライパンの特徴
  • 高温に超強い ➜ 料理が楽しい、美味しい
  • 耐久性がレベチ ➜ 一生使える
  • サビる ➜ 手入れが必要
  • 重い ➜ 不便だが蓄熱性は〇

これ以外もありますが、本論じゃないのでざっくりと。

個人的には高温調理が楽しめるのが買ってよかったと感じる一番のポイント。
高温だからこその「味」や「焼き色」、調理するときの「音」は毎日の料理を本当に楽しくしてくれます。

一方でサビ対策が必要、重いといった、鉄フライパンならではのデメリットも理解しておく必要があります。

鉄のフライパン初心者が気にするべきポイント

鉄フライパンを長年使うものとして、また鉄に長く携わる者として、鉄のフライパン選びにあたって考慮すべきポイントは以下と考えます。

鉄フライパンを選ぶ際のポイント
  • 手入れと扱いのしやすさ
  • 重さ、厚み
  • ハンドルの構造と形状
  • 素材
  • 成型方法
  • サイズ、形状
  • 対応熱源

うち、初心者が特に気にすべきは上の3つ。

これらのポイントを押さえないと買ったけど使わなくなったということになりかねません。
それ以外のポイントも併せて、詳細は後述します

ポイント1.手入れと扱いのしやすさ

手入れと扱いのしやすさは初心者がもっとも気にするべきポイント
これを考えずに適当に買うと、間違いなく後悔します。

手入れと扱いのしやすさが重要な理由

結論からいうと、手間が多くかかるものを買うとめんどくさくなって使わなくなっちゃうからです。

当然ながら、鉄はサビます。
サビたらサビを落とすのも大変ですが、何より最悪腐食して使えなくなります。

それを防ぐために、以下の手入れと扱いが求められます。

  • 定期的な油ならし
  • 料理後の即洗いと空焼き(洗剤禁止)
  • 使用後の油の塗布

それぞれの内容の説明は本論ではないので割愛しますが、一言で言うならまぁまぁの手間。
私も最初は「え、これ毎回やんの…?」と面食らいました。

手入れがめんどくさくて、気づけば使わなくなってたってのは初心者あるある。
なので、できる限りこれらの手間がかからないモノを買うべきです。

窒化鉄を使ったフライパンが初心者の最適解

鉄フライパンのメーカーもこれらの手間がユーザーの悩みであることをわかっているので、対策を打ってきています。

手入れの手間の軽減策
  • 窒化鉄の使用:めちゃめちゃサビにくい
  • 表面塗装*を施す:ほぼ間違いなくサビない
    *フッ素樹脂、ホーローなど

両者とも、上述の手入れは不要。
(油ならしは単純に使いやすくなるのでやる方が〇)。

じゃあどっちがいいかというと、個人的には窒化鉄を使った鉄フライパンがオススメ
鉄フライパンの高温調理ができるとの最大のメリットはそのままに、デメリットだけを低減したモノだからです。

表面塗装したものはたしかにサビないですが、いずれ塗装がハゲます。
塗装がハゲたら基本的には買いなおしです。
モノによっては、塗装がハゲないように温度制約を設けてますが、それだと「鉄のフライパン使う意味なくない?」と思っちゃうわけです。

対して窒化鉄フライパンは、塗装してないのでそのような制約は一切ありません。
窒化鉄フライパン=超サビにくい鉄フライパン、こう思ってもらってOK。

デメリットがあるとすれば、普通の鉄のフライパンより少し高いということ。
けど、失敗しないための保険代と思えば安いモンです。

ポイント2.厚み、重量

お手入れの次に気にすべきが厚みと重量
これも選び方をミスると、使わなくなる原因になります。

厚みと重量は無理のない範囲かつ作りたい料理で決める

鉄のフライパンは重いです。
重くて使うのがイヤになるのはよくある話。

じゃあとにかく薄くて軽けりゃいいかというと、そういうわけでもありません。
厚みと重量によって、向き不向きな料理が変わるからです。

  • 厚さ1.6mm未満:炒め物
  • 厚さ1.6mm  :オールジャンル
  • 厚さ1.6mm超え:じっくり火を通す料理(ステーキなど)

補足:厚さと重さは比例するので、厚いもの=重いとお考え下さい

要するに、自分が扱える重さと作りたい料理のバランスを考えて選ぶ必要があるということです。

初心者は厚さ1.6mm、重さ1,000g程度がベター

上述のように、厚みと重量は作りたい料理と個人の許容範囲によって変わるので、絶対的な答えはありません。
ただそれではこの記事の読者のみなさんに申し訳ないので、一つの目安をお示しします。

"厚さ1.6mm、重さは1,000g程度のモノ"

1.6mmは薄くもなく厚くもないバランスの取れた厚みで、なんでも満足のいくクオリティで作れます
重量は1,000g程度なら女性の方でもそこまで苦ではないと思います。

まずはこれを目安に選んで鉄フライパンを使ってみて、自分なりの好みが湧いてきたらそれに応じた2本目を買うというのがオススメです。

ポイント3.ハンドルの構造と形状

一般的にあまり重要視されていないポイントですが、個人的には結構大事だと思います。
耐久性や使い勝手に関わってくるからです。

まず観点を紹介し、詳細は後述します。

ハンドルの観点
  • 本体との接合部があるかないか
  • ハンドルカバーの素材
  • 取り外し可能かどうか
  • 長さ
  • 握りやすさと形状

接合部があると壊れる可能性が高まる

鉄のフライパンの表面はサビたら気づくし、対処も可能。

他方、接合部はそもそも鉄の表面よりもサビやすい(理由後述)うえに、接合部の隙間からジワジワとサビが進行するので気づきにくいんです。
気づいたときには接合部が腐食して、ハンドルが本体から取れちゃうなんてことになります。

接合部がサビやすい理由
  • 接合部には水が溜まりやすい
  • 本体とハンドルで素材が違う(鉄×ステンレス等)ことが多く、電食の原因となる

つまり接合部はないに越したことはないってこと。

ただ接合部がない鉄フライパンは鋳鉄製のものだけで、鉄フライパンの9割以上は写真のような接合部があります。
とはいえ絶対腐食するわけでもないので、気にし過ぎることもないと思います。

カバーの素材は「なし(鉄)」か木がオススメ

ハンドルカバーの素材は主に3種類。
素材ごとに、耐久性、重さ、見た目が変わります。

それらをチャートにするとこんな感じ。

耐久性重さ見た目
樹脂×
なし(鉄)

個人的には耐久性の観点で木かなし(鉄)がおすすめ。
耐久性の高さがウリの鉄フライパンがハンドルカバーの弱さで使えなくなるなんて本末転倒だと思うので。

あと樹脂はどうしてもチープな見た目になるので個人的には好きじゃないです。

ハンドルは長すぎないものがベター

筆者所有のもので長さを比較

鉄フライパンの中には結構ハンドルが長いものがあります。

長いことのメリットは、遠心力を効かせて食材を揺すったり振ったりしやすくなること。
一方、収納スペースを取る、重さを感じやすくなる、シンプルに邪魔、といったデメリットも。

個人的には一般家庭では長すぎるハンドルはデメリットの方が多いと思います。

特に最後の点、筆者も長いハンドルの鉄フライパンを持っていますが、複数のコンロで同時に調理するときなどは結構邪魔…。
なので、初心者の方はあまり長すぎない物を買うことをオススメします。

握りやすさと形状

鉄のフライパンは料理人向けのものが多くあり、それらは特殊な形状をしていることがあります。

それらは見た目的にもかっこよかったりしますが、初心者の方はまず握りやすい太さと形状のものを選ぶべきです。
形状が手に合っていないと重さや疲労感を感じやすくなって、長続きしないからです。

例えば、写真のように手のひらに食い込むような感覚のあるものは避けた方が無難です。

取り外し可能かどうか

リバーライト Cocopan 出典:Amazon.co.jp
  • キャンプなどに携帯したい方
  • 鉄フライパンを器として使いたい方
  • 収納スペースがない方

このような方はハンドルが取り外せるかどうかもポイント。
ただ収納スペースが普通にあって、ただ調理に使いたい方は気にしなくていいと思います。

ポイント4.成型方法

初心者はそこまで意識しなくていいポイントなので詳しくは書きませんが、それぞれの違いを知っておくと商品選びが楽しくなるので簡単に紹介します。

成型方法別の特徴

プレス:安価、軽い(薄い)ものが多い、大量生産

鍛造:高価、少し重い、少量生産(手仕事)

鋳物:高価、重い、少量生産(工程が長い)

*あくまでざっくりした特徴で当然例外はあります

ちなみにどれも丈夫ですが優劣をつけるなら、鋳物>鍛造>プレス、の順になります。

プレス品はまず鉄フライパンに慣れたい方に、鍛造品は一品ものなどオリジナルなものが好きな方に、鋳物品はじっくり熱を通す料理を楽しみたい方に、それぞれオススメです。

ポイント5.素材

いやいや素材って鉄でしょ?
と思われた方がほとんどだと思いますが、ポイント4の図のとおり鋼板製と鋳鉄製にわかれます。

両者とも鉄であることに違いはないのですが、鋼板製の方がワレにくかったり、鋳鉄製の方がサビにくかったりと、ほんの少しですが違いがあります。

ただ、初心者は気にしなくてOK。
こだわりが出始めたら、以下の記事を参考にしてより自分に合う方を選んでみてください。

ポイント5.サイズ

サイズは作る料理の量と重さの兼ね合いになります。
大は小を兼ねるのは間違いないし、心配なら少し大きめを買うべき。

ただ鉄のフライパンはアルミ製よりもサイズアップした時の重量の上がり幅が大きい点に注意してください。

商品ごとの個体差が大きすぎるので具体値を示すのが難しいのですが、単純な素材の差でいうと鉄の方が3倍重いです。
つまり、アルミがサイズアップするのに100gですむところ、鉄は300g重くなるということです。

ポイント6.形状

形状は浅型と深型の2種類がありますが、どんな料理をよく作るかをイメージして選んでください。

汎用的に使えるのは深型で、炒め物にも焼き物にも煮物にも使えます。
ただ深い分若干重いので、どこまでいっても何を作るか次第ですね。

ポイント7.対応熱源

鉄のフライパンは基本的にIH含め全熱源に対応しています。

ただ、特に鍛造性のフライパンなど、まれにIH非対応のものがあるので注意してください。

【余談】調理がうまくなれば焦げつきは減る

どんなに優れた商品であっても、必ずつくレビューがあります。

「めっちゃ焦げつく」とか「焦げついて使い物にならない」といった「焦げつき」に関するレビューです。
そしてそのほとんどはネガティブなもの。

これらのレビューから、「焦げつきにくさ」も選ぶポイントの1つじゃない?との意見もあるかと思います。
実際、窒化鉄やエンボス加工など、焦げつきを低減する加工を施しているものもありますしね。

ただこれまでの経験から、焦げつきにくさはポイントではないと考えます。
なぜなら、使い手がヘタならどんな鉄フライパンでも焦げつくからです。
裏を返せば、うまく使えばどんな鉄フライパンでも焦げつかさずに使えます。
(焦げつきにくくする方法は別記事で書くので詳細割愛)

とにもかくにも、焦げつきにくさは意識しなくてOK、上記のような焦げつきに関するネガティブレビューは無視してください。

厳選!初心者にオススメ3選

最後に初心者におすすめのフライパンを3本、厳選して紹介します。
全て窒化鉄フライパンです。

他も見てみたい!という方は以下記事を参考にしてください。

リバーライト 極JAPAN

出典:Amazon.co.jp

リバーライトは多くのキッチン雑貨店で売られているので、最も有名な鉄フライパンといっても過言ではないです。

実力も人気どおりで、間違いなく買って後悔のない商品。
見た目もおしゃれで、取り出すだけでテンションがあがると思います。
お値段もリーズナブルで、初心者に超オススメの一本です。

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岩鉄鉄器 ダクタイルパン

出典:Amazon.co.jp

筆者愛用品です。

高いですが、機能、耐久性、見た目、全てにおいてこれ以上ない商品です。
お値段は少しお高めですが、その価値は余裕であります。

その良さは以下記事で熱く語っていますので、よければご覧ください。

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アイリスオーヤマ 鉄フライパン SCP-F

値段重視の方におすすめの一本。

安いわりに機能性はもちろん、リバーライトを意識してるかのようなハンドルと見た目も普通に〇。
安かろう悪かろうではないのでご安心を。

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