コーヒーを淹れる際、普段はカリタのドリッパーと紙のウェーブフィルターを使っています。
味も使い勝手もいいので気に入っているのですが、紙フィルターの費用とゴミが気になり、これらを削減できる術を探していました。
そんな時に出会ったのがセラミック製のコーヒーフィルター。
紙フィルター不要で、丁寧に使えば一生使える。
しかもより美味しいコーヒーが楽しめるとあって「これだ!」と即決しました。
購入後はこれまでほぼ毎日、200回ほど使用。
期待通りめっちゃ美味しいコーヒーが淹れれて、紙フィルターのゴミも費用も削減できて大満足!
…とはいかず、使用していくと、買う前には見えなかったデメリットも浮き彫りになってきました。
そこで今回は200回使ってわかったセラミックコーヒーフィルターのメリット・デメリットを紹介します。
結論、セラミックコーヒーフィルターは人を選ぶ商品だと思いますので、本記事を参考にして買うかどうかの判断をしてみてください
筆者使用品の紹介
筆者が使用しているのはethical houseのセラミックコーヒーフィルターです。
以下の点が気に入っています。
- 面倒な焼成が不要
- お手入れは煮沸のみでOK
- お値段がリーズナブル
- デザインがシンプルでかわいい
後述しますが、焼成不要なのはかなり大きいです。
また見た目もオシャレで使い勝手が良いのも◎。
気になった方はチェックしてみてください。
セラミックコーヒーフィルターのデメリット
まずはデメリットから。
- お手入れが大変
- コーヒーかすを捨てるのが面倒
- コーヒーの抽出に時間がかかる
- 粒度細かめのコーヒー抽出には向いてない
なんといってもゴミ捨ても含めてとにかくお手入れが大変!
詳細は後述します。
お手入れが大変
セラミックコーヒーフィルターには無数の微細な穴があります。
この穴がコーヒーをろ過し、不純物を取り除くことでまろやかで美味しいコーヒーが飲めるわけです。
ただこの微細な穴は放っておくとコーヒーオイルやコーヒーかすで目詰まりします。
この目詰まりを防ぐために以下お手入れが必要になります。
- 使用後の即洗い(結構しっかりめに)
- 定期的な焼成
- 洗剤禁止
これらいずれもなかなか厄介です。
詳細は後述します。
使用後の即洗い(しかも結構しっかりめに)
コーヒーオイルやコーヒーかすが微細な穴に残らないよう、ドリップ後はすぐにお湯で洗う必要があります。
厄介なのが、適当にお湯でじゃじゃっと洗って終わりではなく、割としっかり目に洗う必要があること。
筆者所有のethical houseのものだと、動画のようなお手入れが推奨されていますが、はっきりいってやってられません。
なので、ぬるま湯で内側外側をざっと洗って、その後はコーヒー淹れる時にわかした熱湯で漬け置きする方法を取っています。
そんなに毎度毎度ちゃんと洗わなくても大丈夫じゃないの?
筆者も最初そう思ってました。
が、使っているうちに明確に抽出速度が遅くなり始めたんです。
そこで漬け置きしてみたら、画像のような汚れっぷり・・・。
そりゃ遅くもなる。
なので、お手入れはしっかりした方がいいです。
ただ、これからコーヒーをゆっくり飲もうとしているまさにその前にお手入れをしなきゃいけないのは、水を差される感があって余計にめんどくさく感じます。
慣れればそこまでめんどうには感じなくなりますが、慣れるまではそれなりの忍耐力が必要です。
定期的な焼成
コーヒーかすが完全に目詰まりするとお湯洗いでは取れません。
ではどうするか?
その答えが焼成です。
フィルター自体を火であぶることで、目詰まりしたかすを焼き切り、灰にして除去します。
やり方は動画のとおり、フィルターを10分程満遍なく火で炙るだけ。
頻度は年に1~2回とはいうものの、めんどくさいことには変わり有りません。
さらにいうなら以下2点もめんどくさいポイント。
- 焼き網の用意
▸トングを使えば不要ですが、10分持ち続けるのはしんどい - 満遍なく焼くために定期的に転がす
▸円錐のフィルターは不安定なので要注意
このように焼成はセラミックコーヒーフィルターの大きなデメリットの1つです。
筆者所有品のような焼成不要な商品を買うのが吉です
洗剤禁止
洗剤成分が微細な穴に残留するとコーヒーの油分と結合し、目詰まりの原因となることから、洗剤の使用はNG。
個人的にはお湯洗いで十分キレイになると思うのであまり気にならないポイントですが、そうではない方は購入を控えた方が良いかもしれません。
コーヒーかすを捨てるのが面倒
セラミックコーヒーフィルターは、表面に細かな凹凸がいくつもあり、触ると表面がざらざらしています。
コーヒーかすを捨てる際、この凹凸にかすがへばりつき、捨てるのが超大変。
フィルターを叩いてかすを全て落とすのはまず不可能で、写真のとおりめちゃくちゃ残ります。
残りを捨てるにはスプーンなどで掻き出さなければいけませんが、それでもすべては落ちません。
結局、残りはシンクに洗い流すことになり、シンクゴミが増えてしまいます。
個人的にセラミックコーヒーフィルターの最大のデメリットはこのコーヒーかすの捨てにくさだと感じます。
コーヒーの抽出に時間がかかる
セラミックコーヒーフィルターは、上述のとおり穴が微細であるため、紙フィルターと比較して抽出に時間がかかります。
ではどれくらい違うのか?
比較実験してみました。
- コーヒー20g分のコーヒー(280ml)を抽出するまでの時間を計測
- 紙フィルターはカリタのウェーブフィルターを使用
- それぞれ5回抽出した平均時間で比較
※コーヒー粉の粒度、湯温、蒸らし時間など、フィルター以外の条件は全て一緒
結果は以下のとおり。
抽出時間 | |
セラミックコーヒーフィルター | 4分10秒 |
紙フィルター | 2分40秒 |
セラミックコーヒーフィルターは紙フィルターに比べて1分半ほど抽出に時間がかかるとの結果に。
なんでもちゃちゃっとやりたい方からすると、長く感じるかもしれません。
ただ個人的にはこの差はあまり気になりません。
そもそもの性格もありますが、抽出時間が長い分、美味しいコーヒーが飲めるし、コーヒーを淹れる時間が好きなので。
要はこの差をどう見るかは人による、ということです。
細挽きのコーヒー抽出には向いてない
繰返しになりますが、セラミックコーヒーフィルターは無数の微細な穴を通じてコーヒーを抽出します。
その穴にコーヒー粉が入ると目詰まりするわけです。
したがってエスプレッソなどの細挽きのコーヒー抽出は推奨されていません。
もう少し詳しくいうと、抽出自体はできますがその分お手入れを入念にする必要が出てくる、ということです。
基本は中挽き~粗挽きで。
アイスコーヒーくらいの粒度なら問題なし。
我が家はこの制約が不便だと感じたことはありません。
セラミックコーヒーフィルターのメリット
続いてセラミックコーヒーフィルターのメリットです。
- 味がまろやか、華やかに、超美味しくなる
- 紙フィルターが不要
→手間の削減、節約になる
最大のメリットはなんといっても、コーヒーが超絶美味しくなること!!
これだけで先ほどのデメリットが吹き飛ぶほどです。
詳細は後述します。
味がまろやか、華やかに、超美味しくなる
初めてセラミックフィルターを使ってコーヒーを淹れたら、「なにこれ!?」ときっと衝撃を受けます。
それくらい、味がまろやかにそして華やかになります。
どんなに鈍感な人でも違いを感じることができるレベルに、です。
違いが出る理由は以下。詳細は後述します。
- コーヒーオイルが抽出される
- コーヒーがろ過される
コーヒーオイルが抽出される
飲べものに油が加わると、コクが出たり味がマイルドになりますよね。
同様に、コーヒー豆に含まれる油脂であるコーヒーオイルをがしっかり抽出されるほど、味はマイルドになります。
紙フィルターの場合、目が細かすぎてコーヒーオイルの多くは吸収されてしまいます。
一方、セラミックフィルターはほど良い目の粗さのため、コーヒーオイルをそのまま抽出することができます。
写真を見ていただくと、セラミックフィルターで淹れたコーヒーは水面が光っているのに対し、ペーパーフィルターにはそれがありません。
この光っている部分がコーヒーオイルです。
目でも見ても違いは一目瞭然ですが、味わいはもっと違います。
まろやかになるだけではなく、コーヒー豆が本来果実であることを思い出させてくれるような華やかな香りと、甘みを感じられます。
これがほんっっっっっとに美味しいんです。
上述のデメリットなんて吹き飛ぶレベルに。
うそかほんとか、ぜひ一度味わってみてほしいと思います。
コーヒーがろ過される
上述のとおり、セラミックフィルターには無数の穴があります。
これらの穴が残留塩素や不純物をろ過。
結果、雑味の少ない口当たりのよいコーヒーになる、というわけです。
紙フィルターが不要
繰り返しになりますが、セラミックフィルターはそれそのものでコーヒーを抽出できますので、紙フィルターが不要です。
紙フィルターが不要となることで感じているメリットは以下の通り。
- ランニングコストがかからない
- 紙ゴミが減る
- 紙フィルターを設置する手間が減る
ランニングコストがかからない
セラミックフィルターは紙フィルターを買う必要がないので、ランニングコストがかかりません。
どのくらいお得になるの?
例えば1日3回コーヒーを淹れる我が家のケースを考えます。
・コーヒー抽出回数は年間365日×3回=1,095回
・60枚入り100円の紙フィルターの場合、年間で1,095回÷60枚≒18セット必要
・年間のランニングコストは100円×18セット=1,800円
上記のとおり、年間で1,800円浮きます。
1年だけなら大したことなく感じますが、10年なら18,000円、30年で54,000円です。
結構大きいですよね。
この経済性の高さはセラミックフィルターの大きなメリットの一つです。
紙フィルターを設置する手間が減る
そんなの大したことないじゃん
人によるとは思いますが、個人的には紙フィルターの設置はまぁまぁなストレス。
一般的な扇形の紙フィルターの場合、袋から取り出す→所定の形に折る→ドリッパーに設置する、この3ステップが必要で、特に折るのがストレス。
折るのがイヤで、我が家はカリタのウェーブフィルターを使っていますが、こいつは取り出すのがめちゃくちゃ大変(使っている人全員思ってるはず)。
いずれにしてもドリッパーに設置する手間とストレスがかかります。
一方で、セラミックフィルターはそのものがドリッパーなので、フィルター設置の手間がありません。
我が家のように、1日3杯もコーヒーを淹れるようなヘビードリンカーにはおすすめです。
紙ゴミが減る
これは想像に難くないと思います。
紙フィルターを使わないので、当然ゴミは減ります。
超些細なことですが、環境負荷の低減に貢献しているとの意識が自己肯定感を高めてくれるかもしれません。
セラミックコーヒーフィルターがおすすめな人
上述のメリット、デメリットを踏まえて、セラミックコーヒーフィルターがおすすめな人は以下のとおり。
- 少し手間をかけてでも、とにかく美味しいコーヒーを飲みたい
- ゴミを少しでも減らしたい
- 支出を減らしたい
セラミックコーヒーフィルターはお手入れのめんどうさ、というデメリットはたしかにあります。
したがって、コーヒーの味よりも手間の少なさや効率を重視する人には向かないと思います。
一方で、セラミックコーヒーフィルターを使えば、紙フィルターでは絶対に体験できない味わいを楽しむことができます。
この味わいを知ってしまったら、紙フィルターにはもう戻れなくなるかもしれません。
したがって、もしあなたがコーヒー好きなら一度試してみてください。
その価値はきっとあります。
コメント
コメント一覧 (2件)
セラミックコーヒーフィルターについて良く考察させていて大変感心しました。素晴らしいです。一点、疑問に思う箇所がありました。洗剤が使えない理由です。洗剤は界面活性剤が含まれているので油を浮かす作用があると思いました。使えない理由は、フィルターの多孔質部に洗剤成分が残ってしまう危険があるからだと思います。如何でしょうか?
牛嶌一彦様
お返事遅くなり申し訳ございません。
またお褒めのお言葉いただき大変うれしく思います。
本記事がお役に立っていれば幸いです。
ご質問の件、私も当初はご記載のとおりの理由かと考えていましたが、販売元に理由を尋ねたところ記事に記載内容のとおりの返答が来ましたので、現状はそちらを正としております。