食卓に彩りを加えるお酒。
美味しいアテと日本酒やワインを嗜む至福のひととき、最高ですよね。
ただ、どちらも日が経つにつれて酸化して味が落ちてしまうのが悩みの種。
空気をポンプで抜いてボトル内を真空に保つのが最良の策ですが、めんどくさいんですよね・・・。
簡単に味の劣化を防ぐ手段はないものかと調べていたところ、画期的な商品を見つけました。
プルテックス アンチオックスです。
蓋をするだけで酸化を防ぐことができる優れもの。
そんなんで本当に効果あるの…?
そう思われる方に向けて、以下をアンチオックスがあるのとないので比較検証することで効果をレビューします。
- 酸化による味の経時劣化
- 炭酸の抜け具合
ぜひ最後までご覧ください。
【結論】アンチオックスは本来の味を簡単に長く持続できる
検証結果とメリット・デメリットをまとめると以下の通り。
効果 | 詳細 | |
---|---|---|
酸化による味の経時劣化 | ◎ | 8日目までは本来の味が楽しめる (普通のふたは5日で劣化) |
炭酸の抜け防止 | 〇 | 5日目まで炭酸がもつ (普通のふたは3日で抜ける) |
上表のとおり、普通に保存するよりも3日味を長持ちさせることができました。
炭酸はアンチオックスの本来の効果ではないものの、こちらも2日の延命の効果が。
後述しますが、この差は個人的に大きいと感じています。
メリット | デメリット |
---|---|
装着が超簡単 長く美味しくお酒を楽しめる デイマーカーで日付け管理が楽 | 高い 5年に一度買替が必要 |
アンチオックスの何がすごいって、装着するだけで味の劣化を抑えられること。
ポンプ式みたいに、毎回面倒な作業をする必要はなし。
値段が高い、買い替えが必要といったデメリットはありますが、ずぼらな筆者はアンチオックス一択。
酔った状態で毎度ポンプでシュポシュポするのは厳しい…
このあたりは人によって意見が分かれると思いますので、ぜひ記事を見て是非を判断してください。
思った以上に飲み物は酸化する
まずアンチオックスの必要性について。
ワインのコルクは超きついし、それだけで酸化は防げているんじゃ?
そう考えがちですが、いくらきつく密閉しても瓶の中に酸素があれば酸化は進みます。
酸化が進むと香りは失せるわ雑味は出るわで、一気に味は劣化し美味しくなくなります。
そして酸化は思った以上に早く進み、コルクだけでは2日で本来の風味が失われるとのデータもあります。
対策として、真空ポンプで瓶の中の空気を抜くのが一般的ですが、それを飲むたびにやるのはかなり面倒(酔っぱらってるし)。
その点、アンチオックスは装着するだけで酸化が防げるわけなので、革命的といえます。
アンチオックスは内部のカーボンフィルターが酸化を防ぐ
ではどのように酸化を防いでいるのか?
内部にあるカーボンフィルターがその答え。
- ボトル内の酸素がカーボンフィルターを通る
- 不活性化ガスが生成される
- 風味や香りを形成する揮発性成分の酸化が防止される
この仕組みはアンチオックスの公式動画を見るとわかりやすいです。
動画によれば、真空ポンプで酸素を抜くよりも3倍ほど効果があるとのこと(1:25)。
本当なら手間いらずでワインを長く美味しく楽しめて最高ですよね。
後ほど検証します。
この手の商品はあまり信用していないのですが、他に選択肢もなく試しに買ってみることにしました
Pulltex Antioxの基本情報
ここからレビューに入りますが、その前にアンチックスの基本情報をまとめておきます。
素材 | シリコン |
カラー | 黒のみ |
重さ(実測値) | 38g |
目安価格 | 2,400~3,000円 |
使用可能年数 | 5年 |
価格は真空ポンプ式の物に比べると割高で、また内部のカーボンフィルターに耐用年数があるため5年に1度買い替える必要あり。
一方でポンプ式に比べると手間を圧倒的に減らせます。
ずぼらな筆者はアンチオックス一択、毎回飲んだ後(酔った状態)でシュポシュポ空気を抜くのは無理…。
高いかどうかはパフォーマンス次第だ!という方もいると思いますので、後述の検証で判断してみてください。
アンチオックスの内容物
付属品は非常にシンプルで、本体、取説、保管用の袋の3点。
保管用の袋は正直いらないかな…
アンチオックス使用時の注意点
取説は日本語非対応ですが、販売元がだいたいのことを外箱に翻訳して書いてくれています。
説明書と併せて大事な部分を抜き出すと以下の通り。
- 食洗器と洗剤の使用は非推奨
- ボトルは立てて保存(効果の最大化のため)
- 使用開始から5年間(1,000回の使用に相当)は100%の効果を発揮
洗剤非推奨は意外ですが、そんなに汚れることもないので気になりません。
アンチオックスにはデイマーカーがある(便利)
本体には開栓日が記録できるデイマーカーがあります。
7/3に開栓したなら装着時にメモリを3に合わせる、そうすれば保存何日目かが簡単にわかります。
いつまでに飲むべきかの目安になるので結構便利です。
アンチオックスは洗いやすい
本体の中身はこんな感じで、真ん中の凸がボトルを密閉します。
上述のとおり洗剤は使えませんが、余計な溝などはないので洗うのは簡単です。
風味の変化を実験で調査
ここからはアンチオックスの効果を実験で検証していきます。
実験で使うのは仙禽のドメーヌ・パーラー ナチュール・シードル 。
日本酒の超人気蔵元であるせんきんが作ったシードルです。
これをサンプルに、酸化による風味の変化、あとついでに炭酸の抜け具合も観察します。
また次項の総評で普通のフタで保存した時との比較もしますのでお楽しみに。
実験1日目(開栓日)
開栓日はオリジナルの味をご紹介。
開栓とともに鳴り響く「シュワっ」っという力強い発泡音。
青りんごの甘みがしっかり感じられつつ、嫌味のない酸味もあってスッキリ楽しめます。
ただ甘いだけではない大人の味わいで非常に美味。
この味わいがどう変化するか、今から楽しみです。
ボトルへの装着は本当にはめるだけで超簡単でした
実験2日目(変化なし)
アンチオックスを初めて外します。
開けようとしてびっくり、フィット感が半端ではない。
それでいて、シリコン製なので回しながら抜くと簡単に外せます。
フィット感と着脱のしやすさのバランスは非常に秀逸!
アンチオックスを抜いた瞬間の音でわかってはいましたが、炭酸はまだまだシュワシュワ。
味は1日目と大差なし。
実験3日目(大きく変化なし)
炭酸は少し弱くなったものの、写真のとおり泡もたち、まだまだ爽快感があります。
味は少し酸味が弱くなり、丸みを帯びた味に変化。
酸化が少しづつ始まったのかもしれませんが、まだ明確な変化は感じられません。
実験4日目(変化あり)
シュワっと感はまだ感じられるものの、炭酸がだいぶ弱くなりました。
味にも変化があり、だいぶまろやかに。
酸化は着実に進行しているのでしょうが、まだ酸化によって深みが増した状態(=美味い)、といった感じで酸化による雑味は全く感じられません。
実験5日目(炭酸がほぼ消失)
炭酸はほとんど抜け、飲んだ瞬間に少し感じる程度。
味は若干酸味が増したものの、前日からほとんど変化なし。
実験7日目(炭酸消失)
※6日目に飲むのを忘れたので7日目に飛びます
炭酸は完全に消失。
味は果実味が少し薄れ、味が落ちた印象を受けます。
ただ酸味は少なくまろやかで美味しいです。
実験8日目最終日(味の劣化あり)
引き続き美味しいものの、酸味が増しました。
これまで甘みが酸味に勝っていましたが、7日目で酸味が逆転した印象。
7日目で完飲となりました。
総評(酸化防止効果は明確にあり)
開栓時の味と炭酸を5として、日数ごとにそれぞれを評価していくと以下の表のとおりとなります。
アンチオックス装着 | 普通のフタ | |||
---|---|---|---|---|
味 | 炭酸 | 味 | 炭酸 | |
1日目 | 5 | 5 | 5 | 5 |
2日目 | 5 | 5 | 4 | 3 |
3日目 | 5 | 4 | 3 | 1 |
4日目 | 4 | 3 | 2 | 0 |
5日目 | 3 | 1 | 1 | 0 |
6日目 | 飲み忘れ | 0 | 0 | |
7日目 | 2 | 0 | 0 | 0 |
8日目 | 1 | 0 | 7日目で完飲 |
効果をざっくりまとめると、以下のとおり。
- 8日間美味しく飲める(普通のふたは5日間)
- 炭酸は5日間維持できる(普通のふたは3日間)
普通のフタの時は6日目で酸化による雑味が混じってしまいましたが、今回は8日間美味しく飲めました。
公式動画で紹介されている10日とはいきませんでしたが十分!
炭酸の保持はアンチオックスの守備範囲外なので、あくまでついでのつもりでしたが、これも効果ありとわかり嬉しい誤算。
酸化防止効果も炭酸の抜け防止にもしっかり効果があると実感できてうれしい限りです。
たかが3日、されど3日
今回の実験結果でこう思った方もいるかもしれません。
美味しく飲める期間が普通のふたと3日しか変わらないのか…
断言しますが、3日の差は大きいです。
特に筆者のようにお酒に強くない人は。理由は以下のとおり。
- 週末を2回迎えられる
- 1日あたりのノルマが減る
週末を2回迎えられる
5日間しか美味しく飲めない場合、土曜に開栓したら水曜までに飲む必要があります。
つまり土日で飲み切れなければ平日にも飲まなきゃいけなくなりますが、翌日の仕事を考えるとちょっと億劫になりますよね。
それが3日延びればもう一度週末を迎えられるので、仕事を気にせず楽しくお酒を楽しめます。
1日あたりのノルマが減る
一般的な瓶の容量は720mlを5日で飲もうとすると1日145mlがノルマになりますが、お酒に弱いとこれがまずきつい。
しかも毎日は飲めない(飲まない)ので、ノルマはもっと増えます。
これが3日延びれば、1日あたり90mlとノルマを40%減らすことができます。
無理せずゆっくり楽しみながら飲めるようになるのは、非常に嬉しいポイントです。
アンチオックスとポンプ式、どちらがいいか?
今回はポンプ式との比較検証はしていませんが、気になる方に向けて個人的な見解を記載します。
今回の検証で明確になった効果と、神の雫ワインリストさんのポンプ式との比較検証記事を参照し、以下のとおりまとめてみました。
- 手間をかけてでも、少しでも味を長持ちさせたい
- 複数本お酒を貯蔵し気分で飲むものを決めている
- 値段重視
神の雫ワインリストさんの記事では、ポンプ式の方が若干ながら味が長持ちしたようなので、味にとにかくこだわりたい方はポンプ式のほうがいいでしょう。
また常に何本もお酒を貯蔵し、気分で開けるお酒を決めているような方もポンプ式の方がいいです。
長期保存が前提になるし何よりアンチオックスは高くて何個も買ってられないでしょうからね。
- 手間を省ければ多少お金を出しても構わない
- 味の持続はそれなりでOK
- 開栓したらそのお酒を飲み切るまで他のものは開けない
続いてアンチオックスですが、アンチオックスの一番のメリットはなんといっても手間の削減。
それでいて、ポンプ式と効果がほとんど変わらないのがすごいところ(神の雫ワインリストさんの記事参照)。
我が家のように、めんどくさがりでまた一度開けたらそのお酒を飲み切るまでは他のものは開けないという方はアンチオックス一択でしょう。
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